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なぜ「なろう漫画」は30〜40代の中年世代にウケたのか

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なろう漫画」を知っているだろうか?

もともと「小説家になろう」という素人投稿サイトのライトノベルを原作にし、そこに作画担当が付いて漫画化された作品群のことを指す。

 

今となっては漫画界に一大ジャンルとして認識されるまでになり、話は主に異世界転生した主人公がチート能力で無双するというものが多い。

そしてなんとこれが30代〜40代の中年男性にウケているのだという。

 

こんな記事を見つけた。2018年6月12日の日本経済新聞のもので、「人生リセットしたい 中年男性もラノベに夢中」という題が付いている。

www.nikkei.comこれは非常に面白い現象だと思うので、今日は「なろう漫画」に関する僕なりの見解と、なぜ「なろう」が流行ったのかについて記事を書いていこうと思う。

 

ちなみに正直僕はこのジャンルが好きではない。その理由も同時にこの記事で述べられたらと思う。(僕の漫画観は以下の記事に書いてあるのでよかったら読んでほしい↓ )

blog.forestweb.info

なろう漫画の特徴

アニステ|アニメ感想まとめ on Twitter: "小説家になろう人気作品 ...

まず一般の漫画と異なる、なろう漫画の特徴を挙げてみたい。

以下はニコニコ大百科から引用したものになる。

◆なろう漫画の特徴◆ ①主人公がなんらかの理由で異世界転生する
主人公がチートと呼ばれるほどの力を得る(努力を必要としないことが多い)
ありふれた知能力でも異世界では英雄に等しい活動ができる
④ゆく先々でヒロインを助けてモテてハーレム作り
⑤とにかく作品名が長く、作品名だけで内容がわかってしまうことも多い
⑥ゲームの中でもないのにステータスやスキルがある世界観

概ね同意できる特徴のまとめだったので、そのまま引用させてもらった。

 

ここに僕が考察した

⑦多くの作品が謎の中世ヨーロッパ風の世界観(ただし致命的に文明に欠陥を持っている)

⑧ 主人公の髪型がなぜかどの作品もほぼ同じ

などを足してもいいだろう。

 

ただここでは太字にした②と③に注目してもらいたい。

共通して「なろう漫画」の世界では、特に能力に秀でていなくても輝くことができる。それどころかハーレムすら築き上げることができるらしい。

 

この要素は非常に重要であり、次に「なぜ30〜40代の中年世代にウケたのか」に深く関わってくる。

なぜ30〜40代の中年世代にウケたのか

若者が理解しない「よく怒鳴る上司」の真の意図 | リーダーシップ・教養 ...

ここでなぜ中年世代にウケたのかを考察していく。

今の中年世代は就職氷河期を経験し、さらに現在中間管理職が多い年齢になる。

 

つまり全体的に虐げられている世代ということになる。

彼らは今の現状に強い不満を持っており、それを発散できる場所を探している。そんな中で出会ったのが「なろう漫画」だ。

 

特にスキルを持っていなくても、既に自分が持っている何気ない知識でその世界のカーストの圧倒的上位に君臨することができ、しかもハーレムまで築くことができる。

 

自分の現状と勝手に脳内で照らし合わせ、主人公に最高の感情移入ができる。

現状に不満を持っていればひどく魅力的に映るだろう。

作中では女性蔑視や選民思想、優性思想がはびこっている。考えることをやめ、ただ享受する形で無双状態を楽しめるのが「なろう漫画」だ。

今の悲しい日本社会を反映している

そういった無能でも既に持っているなんでもない知識で無双できる世界観の漫画が流行るということは、上記でも述べたようにそこに憂さ晴らしを求めているからに他ならない。

 

つまり虐げられている悲しい世代が、癒しを求めて「なろう漫画」を買い漁っているのだ。

ご丁寧に主人公の年齢を30代から40代の風貌に設定している漫画もある。サムネイルの「駆除人」という漫画もその一つで、なろう漫画にしてはタイトルが簡潔だが、作中のそれはまさに典型的な「なろう」そのものだ。

 

僕も昔読んだだけなのでうろ覚えではあるが、主人公が持ち前の駆除スキルで毒団子的なのを作り、大量にモンスターを駆除することで勝手に経験値が上がり、結果ギルドの受付嬢をびっくりさせる〜みたいな話だったと思う。

なろう漫画はワンパターン化してしまうことが多い

こういった脳死テンプレの性質上、同じような味の作品を大量に作ることはものすごく容易だ。

事実数え切れないほどの「なろう漫画」が生まれている。

 

ただそれは裏を返せば飽きられやすいということでもある。

しかしこの「テンプレに飽きられやすい」を克服したのが「なろう漫画」の凄いところでもあると僕は考える。

 

主人公に感情移入している読者は、早く次の刺激が欲しい。つまり作中のキャラにちやほやされることが一種の麻薬のようなものになっているからだ。読んでいてとても気持ちよくなってしまう。

そして次々新しいが似たような作品が作られていき、どんどん消費されている。

 

ただこれは現実の世界で満たされている、または努力を怠らない人にはただただ滑稽なだけでもある。

当たり前の話だが作中のキャラはフィクションなわけで、現実には存在しないから。いくらちやほやされたところで今の自分が変わるかといったらそうではない。

面白いなろう漫画

さて、ここまでどちらかと言うと批判的な目線で書いてきたけれど、中には面白いと思えるような「なろう漫画」も存在する。

ちょっと味付けは変わってしまうが、僕がオススメする「なろう?漫画」をいくつか紹介したい。

パラレルパラダイス/岡本倫先生 

comic-days.com

↑で1話が読めるのでぜひ読んで欲しい。

 

「極黒のブリュンヒルデ」でおなじみ、和歌山出身の漫画家、岡本倫先生の最新作。大好評絶賛連載中。

一言で言うと頭おかしい。僕は好きだけど。てかこれよく連載できたな。

 

 完全に主人公無双&ハーレムだらけの典型的な「なろう漫画」だけど、設定がぶっ飛びすぎてて読んでて逆に笑えてくる怪作。唐突すぎるグロシーンなど、やっぱ岡本先生ってすげえわ。

 

異世界おじさん/殆ど死んでいる先生

comic-walker.com

↑で1話が読めるよ。

 

これは「なろう漫画」というより、それを風刺した「ギャグ漫画」に分類されると思う。

バズったおかげでめっちゃ有名になった。ずっと植物状態?だったおじさんが目覚めたら意識の中で旅してた異世界で得た能力を、現実でも使えるようになったっていうちょっと何いってるから分からないと思うのでとりあえず読んで欲しい。めっちゃ面白い。

異世界のシーンだけ謎に画力上がるのなんなんだ。

さいごに

読者に共感してもらうことは漫画を売っていく上で非常に重要なファクターだと言える。

この点において「なろう漫画」は全く間違っていないし、事実売れて話題になっているので作品としては正解なのだろう。

しかも「テンプレに飽きられやすい」という弱点を克服したのは正直凄いと思う。

 

ただ何度も言うように、こういった漫画が一定の支持を得られるのは現状に不満を持った人間が多いということを間接的に示唆しているのと同じであるように思う。

これから漫画界もとい日本社会はどうなっていくのか....僕が危惧しすぎなだけなんだろうか....。

 

それではまた。