この前会社辞めた友人が今度は出版社で漫画編集の職を探してるらしい。
さすがに正規職は見つからないだろうとのことで、社員登用を見込んでアルバイトで申し込むんだと。
僕も昔ある出版社の漫画編集の正規職を受けて落ちたことがあるんだけど(それ以来好きな漫画でも買わなくなったから僕の熱意なんてのはその程度だったのかもね)、編集業ってめっちゃ難しい職業だと思う。特に漫画は。
持ち込まれた作品に対してその場で「面白い」か「面白くない」かを即座に言い渡さなければならないのはかなりの重荷だと思う。しかもその作品はその人が何時間も何十時間もかけて頑張って描いたものだから、余計苦しいだろうな。まあ慣れるんだろうけど。
そんで僕の時もそうだったけど、編集の面接では自分が持ってるアイデアを提案する機会があって、友人も今それに悩んでるらしい。要するに面白い漫画のアイデアをまとめて提案しろってことね。
そんなわけで今日の記事は僕が思う「面白い漫画観」について書こうと思う。
過去に編集業に落ちた人間の戯言だし、おそらく僕の漫画感性は歪んでいるので、もし読んでくれるなら流す程度に見て欲しい。
面白いとは
「面白い」とは何か。
以下に僕が思う「面白い漫画の要素」を4つ列挙したので見て欲しい。
①パクリではなくテンプレを大事にしている
人は経験したことがないこと、出会ったことがない人に魅力を感じやすい。
初めての経験というのは脳みそのエネルギーになる。これは創作物にも言えて、以前どこかで見たようなストーリーの漫画は本能的に面白くないと思ってしまう。
だからまず「パクリ漫画」は面白くない。例を挙げるならデスノートに対するロストブレインみたいなもんだ。全く似たようなストーリー構成、味付け、それでいて手本にした作品の完全劣化になりがちになる。(読んでない人はぜひ読んでみて欲しい)
ここで注意して欲しいのは「パクリ漫画」と「テンプレ」は違う。テンプレは既に大枠でストーリーの外観ができていて、そこに作者が自身のキャラや設定を盛り込んでいくことができることを指す。
例を挙げるとすれば、同じ王道バトル漫画でもワンピースやNARUTO、ジョジョやチェンソーマンなど全く毛色が違う。しかしどれも面白い。これは根底に王道という下敷きがあるだけで、キャラや世界観が全く異なるからだ。
「恋愛もの」「バトルもの」「推理もの」「スポーツもの」・・・など世の中にはたくさんのテンプレがあるが、そこに沿ってかつ自身のオリジナリティを色濃く作品に投影できるものが強いし面白いものだと思っている。
②設定の説明が簡潔
これは前の「チェンソーマンめっちゃ面白い」の記事でも触れたことなんだけど、設定の説明が簡潔であることはものすごく重要だと思う。
例を挙げた方が分かりやすいと思うのでここで1つ、最近までジャンプで連載されてたサムライ8。NARUTOの岸本先生の新作とだけあって期待値も高かったけど、あれは酷かった...。
とりあえずこの画像を見て欲しい。
これは第1話のモブ敵のセリフなんだけど、どう思っただろうか。
いや固有名詞多すぎ!!!
だいたい2ページにつき1つか2つ新しい単語が出るぐらいであれば人間はギリギリ覚えられるらしい。
1コマに何個新しい単語あるんだよ。難関大学目指す受験生の英単語帳か。
画像はないけど1話の最初の数ページ目で固有名詞めちゃめちゃ出てきたからね。
あと流離(さすらい)とか普段使わない熟語をあえて漢字で書くあたりも地味にストレス。世界観を表現したかったんだろうけど。
サムライ8は本当に酷くて、本当にあのめちゃ面白いNARUTOを描いた岸本先生が原作を担当してるのか?と疑問に思う場面ばかりだ。
まあそれは置いといて。
世界観を説明することは確かに大事だけど、このようにややこしすぎ詰め込みすぎの漫画は読んでてダレるということ。漫画描き初心者にありがちなミスらしい。(岸本先生は?)
あくまで読む側に配慮した構成であることが重要で、こういった説明ばかりの漫画は基本的に面白くない。
③起承転結がわかりやすい
これも結構重要。4つのポイントの中では優先順位は後ろの方だけど、かなり重要であることは間違いない。
ここでも1つ例を挙げたい。最近まで連載されていたアラタプライマルという漫画。(↓で読めるから読んだことない人は見てみてね。)
この漫画、僕は1話を読んでる途中で(早めに打ち切られるな)と思った。案の定打ち切られてたけども。
なぜかネットでは酷評があまりないんだけど、僕の感性がおかしいんだろうか?
1話意味不明すぎでしょ。
いやそれ以降の話も意味不明だけど。今まで読んだ中で話が意味不明な漫画ランキング5位以内にはランクインするよ。
誰?
何なの!?って僕が言いたいよ。
あとパソコンから磁力帯びたスライムみたいなの出てくるとこ(そこだけじゃないけど)意味分からなすぎてヤバい。よくこれ連載会議通ったな。
話の脈絡が全く繋がってなくて、ページごとに別の物語を読んでるみたいな感覚。そんでキャラの性格がゴミすぎる。(原作者曰くあえて嫌われるようなキャラ設定にしたらしいが、負け惜しみか?成長物語とか言ってるけどただただ不快なだけだと思う)
まあ僕の感性が間違っていたとしてもこれは結果打ち切りになっているので、つまらない漫画と定義したとして、このように起承転結が全く意味をなしていない漫画は根本的に面白くない。
もちろん第1話だから「起」がメインになるのはわかる。 だけどこれ意味不明な起起起起起起起ぐらいで終わってるやん。
まあこの漫画が面白いのは原作者と作画が別れているところかな。このストーリーをあえて起用する理由がどこにあったのか。
ドクターストーンの原作者との会談記事があるのでこっちもぜひ読んで欲しい。こっちはかなり笑える。稲垣先生もキャラのヤバさに触れてるね。ドクターストーンは新しい着眼点で描かれた面白い漫画だと思う。
④キャラが立っている
上でもちょっとだけ触れたけど、正直これが一番重要だとは思う。
漫画で一番重要なのはキャラ。これがしっかりしてれば勝手にストーリーができると言う漫画家も少なくない。
ジョジョの奇妙な冒険を描いてる荒木飛呂彦先生はキャラの履歴書を1人1人作っているらしい。僕もジョジョはかなりのファンだが、あの綿密なストーリーを描く上で一番重要なのはキャラだそうだ。
ここまで作り込むのは正直すごい、がそれほどキャラクターを作り込むことが重要だというのがわかる。
ストーリーの重要性はここまで触れてきたけど、漫画で何より大事なのはキャラクター。これは間違いないと思う。キャラに魅力がないと読んでて疲れるしね。
ジョジョ3部を読んだ人は誰しも一度は承太郎に憧れただろう。帽子とか被ってタバコ吸っちゃったりしたかもしれない。オラオララッシュ自室でやってみたりね。
読んでる人を魅了するぐらいのキャラじゃないと楽しくない。これは真理だと思う。
さいごに
ちょっと長くなっちゃったからここで今日の記事は一旦終わろうと思う。
とりあえず面白い漫画を作るために必要な4つの条件は上記のそれだと考えている。
漫画についてはまたどこかで書きたいのでよろしくお願いします。
それではまた。